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かぐや姫文庫
竹取物語の歴史的研究 1
解説 かぐや姫文庫館長 山口真一
巻 頭 言
『源氏物語』の中で、「物語のいで来始めの祖」と
紫式部が絶賛している『竹取物語』ですが、その成立は
9世紀末から10世紀始めの頃。かのシェークスピアが傑作を世に
送り出すより遥か昔で、ヨーロッパ文学の源流といわれる『アーサー王伝説』
よりも200年も昔のことです。
竹から生まれて美しい娘に成長し、ついには月に帰っていく・・・
という日本人なら誰でも知っている簡潔な内容ですが、その中は優れた主張と
魅力に満ちあふれています。特に、失われていく愛の前では権力も
富も何の意味もないという、強烈なメッセージが込められて
います。文章は簡潔で力強く、さっと一筆書きした
ようなタッチ。千年の昔からどれだけの人々
がこの物語に心を奪われてきたことか。
かぐや姫文庫では皆さんを果て
しない夢物語の世界に
ご案内します。
★ 『竹取の翁』について
*【万葉集 二十巻(630年〜759年)】の《巻十六(740年頃)》に初めて登場!
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「概略」
翁が季春の頃丘に上がると、あつものを煮る九人の天女に会う。天女は翁をよんで笑って「来て鍋の火を吹け」という。翁が座に加わると、しばらくして天女たちは、一体誰がこの翁を呼んだのだとつっつき合うので、翁は謝して、意外にも神仙に会ってついなれた罪を歌でつぐなおうといって、「自分も若い時は、皆にちやほやされたが、今は、こうしてあなた方にばかにされる。しかしあなた方だっていずれそうされる時があろう」というような歌をよむと、九人の天女は、いずれも末尾に「我は依りなむ」(あなたと結婚しよう)またはそれに似た句をもつ返歌をつくる、というように記されている。これは少なくとも【万葉集】時代の説話では『竹取の翁』が天女に対する求婚者であったという風に解釈できる。
それが、竹取物語では養父の関係に変形したのだとも考えられる。
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もちろん、【万葉集】以前に、神世から中古前期にかけて『竹取の翁』に関する説話が―今は亡んでいるが―いろいろあり、その一つが【万葉集の巻十六】や【竹取翁の物語】になっていったとも考えられる。
★大化改新【645年】天智天皇 ★壬申の乱【672年】天武天皇
★ 5人の貴公子について【大宝律令 701年当時】
1. 石作皇子「丹比嶋真人(たじひしままひと)」《左大臣》700年(文武四年)
2. 車持皇子「藤原不比等(ふじわらふひと)」《右大臣》708年(和銅元年)
3. 右大臣阿部御主人「阿部御主人(あべのみうし)」《右大臣》701年(大宝元年)
4. 大納言大伴御行「大伴御行(おおとものみゆき)」《大納言》701年(大宝元年)
5. 中納言石上麿足「石上麻呂(いそのかみまろ)」《左大臣》708年(和銅元年)
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(推定根拠)日本書紀「持統天皇十年(696年)冬十月二十二日の条」より
《仮賜正広参位右大臣丹比真人資人一百廿人、正広肆大納言阿部朝臣御主人、大伴宿禰御幸並八十人、直広壱石上朝臣麻呂、直広弐藤原朝臣不比等並五十人・・・》と記述!
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◇ 右大臣阿部御主人、大納言大伴御行、中納言石上麿足の三人は実名通り
◇ 車持皇子が藤原不比等であると推定する根拠
不比等は内大臣鎌足の二男ということになっているが、母は車持与志古の娘で、実は天智天皇の皇子であることが、当時隠れもないことであった[松尾聡 竹取物語より]
◇ 石作皇子が丹比嶋真人であると推定する根拠
丹比氏と石作氏は姓氏録によれば同族であることと、日本書紀や続日本紀では、前記4名とたいてい並んであげられていること[松尾聡 竹取物語より]
★ 平城京遷都【710年】 ★平安京遷都【794年】
★ 「竹取物語の成立」について【870年〜900年頃】
1.諸説あるが、田中大秀氏は、延喜(900年)以前の作だと推定。
ゆえに、9世紀後半という仮説を採用したい。[竹取翁物語解より]
★「上記の主な参考書籍並びに和本・写本・木版画」について
* 《萬葉十六竹取翁長歌 和本》1766年(明和三年)賀茂真淵著
* 《竹取翁之図 木版俳諧摺物》1830年頃(天保年刊)中島来章画、古梅俳句
* 《竹取翁物語解 六巻 注釈本》1831年(天保二年)田中大秀著、本居太平序
* 《竹取物語考 加納諸平著 注釈本》1926年(大正十五年刊)佐々木信綱序文
(かぐや姫文庫館長蔵)
* 《竹取翁、竹取爺〈昔話と文学〉》(柳田国男) 《古代物語研究序説》(藤村潔)、
《竹取翁物語》(吉田幸一) 《竹取翁物語 古活字十行本》(片桐洋一)、
《竹取翁物語 横山重蔵本》(山田忠雄) 《古本 竹取物語》(中田剛直)
《竹取物語の研究 校異篇・解説編》(中田剛直) 《同左研究 本文篇》(新井信之)
(かぐや姫文庫館長蔵)
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